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持病と注射の予定を抱えたまま、奥歯の抜歯を勧められたら
糖尿病で内科に通い、骨粗しょう症の注射も半年ごとに受けている。そこに奥歯の抜歯の話が加わると、傷の治りや術後の通院が気になりますよね。この記事では、抜歯とインプラントを分けて考える視点、主治医と歯科医師に伝えたい情報、術後の連絡先を順に整理します。薬や注射は自分の判断で止めず、まず相談の場で伝えてください。
この記事の要点まとめ
- 抜歯の必要性と抜歯後の治療は分け、噛み合わせや残る歯の状態を確認して相談します。
- 血糖やHbA1c、骨粗しょう症治療薬の名称と注射日を共有し、薬の変更は主治医と歯科医師に確認します。
- インプラント・入れ歯・ブリッジの特徴や通院予定、術後の連絡先を確認し、持病や生活予定を踏まえて方針を検討します。
奥歯の抜歯と、その後の治療は分けて考えられる
奥歯のむし歯・歯周病は、なぜ抜歯の判断に関わる?
むし歯が根の近くまで進んでいる、歯周病で歯を支える骨が減っている。こうした状態はレントゲンなどで確認し、歯を残せるかを見極めます1。抜歯を勧められたら、その理由と、残す方法がないかを遠慮なく尋ねてください。当院の方針としても、抜歯は最初の選択肢とは考えていません。持病があるからと受診を先送りすると、炎症を長く抱えることになるので、診察はなるべく早めに受けましょう。
奥歯を抜いたままにするかは、噛み合わせも含めて相談する
奥歯のない状態が続くと、向かい合う歯が伸びてきたり、隣の歯が傾いたりして、噛み合わせが変わることがあります2。一番奥の歯なら、そのまま経過を見る判断になる場合もあり、残る歯の状態によって対応は変わります。インプラントにするかどうかは、抜歯の前に決め切らなくても問題ありません。
詰め物や銀歯が取れた場合も、抜歯の相談と一緒に伝える
同じ時期に詰め物が欠けた、樹脂(コンポジットレジン)や銀歯が取れた、ということもあるでしょう。痛みがなくても、そのままにせず歯科医院へ連絡してください。「何日以内なら大丈夫」という一律の線はなく、歯の状態によって対応が変わります。抜歯の相談と合わせて診てもらえば、通院回数をまとめやすくなります。
糖尿病と骨粗しょう症がある方の手術前に確かめたいこと

血糖値とHbA1cは、どの記録を持参する?
直近のHbA1c、普段の血糖値、低血糖を起こしたことがあるか、目や腎臓などに合併症があるかを伝えてください。血糖の高い状態が続くと、感染しやすく傷の治りも遅れやすいとされています3。「この数値を超えたら手術できない」という一律の基準はなく、目安は医療機関や処置の内容によって異なります。血糖の状態と処置の大きさを合わせて、個別に判断するのが一般的です。
デノスマブの注射日と薬の使用歴をどう伝える?
伝えたいのは、薬の名称、前回の投与日、使い始めた時期です。以前にビスホスホネート製剤などの飲み薬を使っていたかどうかも添えてください。骨の吸収を抑える薬では、抜歯などをきっかけにあごの骨の障害が起こることがまれに報告されています4。その一方で、デノスマブは自己判断で中断すると骨折の起こりやすさに影響する可能性も指摘されています。注射は自分で延期・中止せず、処方元の医師と歯科医師に時期を相談してください。
当日の食事・糖尿病の薬・麻酔は誰に確認する?
食事をとってよいか、局所麻酔か静脈内鎮静法かといった点は、歯科医師に確認します。インスリンや血糖を下げる薬を当日どう使うかは、内科の主治医の指示に従ってください。食事の量が減ると、低血糖につながることがあるからです2。血糖や体調によっては延期も選択肢になることを、事前に共有しておくと落ち着いて臨めます。
抜歯後のインプラント・入れ歯・ブリッジをどう選ぶ?

インプラントを考えるなら、あごの骨と歯周病を確認
歯科用CTを使うと、あごの骨の厚みや高さ、神経の位置を立体的に確認できます。歯周病が残っていると、インプラントの周囲にも炎症が起こりやすいため、治療前に確認しておく必要があります5。骨が足りない場合は骨造成を提案されることもあるので、追加の手術の内容や期間を尋ねておきましょう。骨粗しょう症の方でインプラント周囲の骨の変化を報告した解析もあります6。ただし、研究結果がそのまま個人の可否を決めるわけではありません。
手術を伴う治療と、入れ歯・ブリッジの利点と負担
インプラントは周りの歯を整える必要がない反面、外科処置を伴い、術後の腫れや感染などのリスクがあります。主なリスク・副作用には、次のようなものがあります。
- 手術後数日間の痛み、腫れ、内出血(あざ)、出血
- 傷口や骨の感染
- まれに、あごの神経が傷つくことによる唇やあごのしびれ
- 上あごの場合、まれに鼻の奥の空洞(上顎洞)に炎症が起こること
- インプラントが骨とうまく結合せず、取り除いて再治療が必要になること
- 手入れが不十分な場合、インプラントの周りに炎症(インプラント周囲炎)が起こり、骨が減ること
- 骨の吸収を抑える薬を使っている方では、まれにあごの骨の障害が起こること4
自由診療のため、1本あたりの費用には幅があります。一般的な相場は当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。ブリッジは両隣の歯を支えに使い、入れ歯は外科処置なしで始められます。どれを選んでも、術後のセルフケアとメンテナンスの継続が前提になります。
抜歯の傷が治った後、いつ治療法を決める?
抜歯と同時に処置を検討する場合もあれば、傷の治りを確かめてから決める場合もあります。持病のある方は、治り具合、その時点の血糖、次の注射の予定をあらためて確認します。費用と治療期間の見通しを聞き、納得したうえで進めましょう。複数の治療方針について説明を受け、患者さんと医療者が一緒に決めていくことが大切です。
春日井市で相談する際の持ち物と通院の確認事項
初回相談には薬の記録・注射日・血糖の記録を持参
- お薬手帳
- デノスマブの投与日が分かるもの
- HbA1cなどの検査結果
- 内科・整形外科の通院先
歯科医師が主治医に何を問い合わせるのかも、その場で確認しておくと、その後の流れがつかみやすくなります3。
通院回数と術後に連絡すべき症状を先に尋ねる
抜歯の後は消毒や抜糸、インプラントの後は経過観察と定期的なメンテナンスがあります5。食事や歯磨きを再開する時期、仕事に戻る目安も聞いておきましょう。出血が止まらない、腫れが日ごとに強まる、熱が出るといったときの連絡先と、休診日の対応先も確認しておくと安心です。ご家族の通院に付き添っている方は、その予定と重ならない日程を相談できます。
ごとう歯科クリニックで相談するときの質問を整理
春日井市にお住まいで、仕事や家族の通院と予定をやりくりしている方は、次の点をメモにまとめておくと話を進めやすくなります。
- 抜歯前にどのような評価を行うか
- 歯科用CTや、血圧などを確かめる生体モニターを使う場面
- 主治医との情報共有の方法
- 術後に通う回数と期間
答えを聞いてから、抜歯の時期と治療法を急がずに決めていきましょう。
よくある質問
Q. 糖尿病だと、手術ができない血糖の数値は決まっていますか?
A. 全国共通の一律の数値はありません。目安を設けている医療機関もありますが、HbA1cや普段の血糖値、合併症の有無、処置の大きさによって判断は変わります。内科の主治医と歯科医師が情報を共有したうえで、時期を決めるのが一般的です。
Q. デノスマブの注射を受けていると、抜歯やインプラントは受けられませんか?
A. 注射を受けていることだけで、治療の可否が決まるわけではありません。あごの骨の障害が起こる可能性も含めて個別に評価し、処置の時期を処方元の医師と相談します。注射を自分の判断で延期・中止しないでください。
Q. 奥歯を抜いたあと、そのままにするとどうなりますか?
A. 向かい合う歯が伸びたり、隣の歯が傾いたりして、噛み合わせが変わることがあります。一番奥の歯の場合は、経過を見る判断になることもあります。残る歯の状態を診察で確認してもらいましょう。
Q. インプラントのような手術を伴う治療には、どんな利点と負担がありますか?
A. 周りの歯を支えに使わずに済む点が利点です。一方で、外科処置による腫れや感染のリスク、治療期間の長さ、自由診療の費用負担、術後のメンテナンスへの通院が伴います。入れ歯やブリッジと比べながら相談してください。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(口腔・歯の健康)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/teeth
2. 公益社団法人 日本歯科医師会 https://www.jda.or.jp/
3. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
4. Mirza R, El Rabbany M, Ali DS, et al. Dental Implant Failure and Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw Related to Dental Implants in Patients Taking Antiresorptive Therapy for Osteoporosis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Endocrine Practice. 2025. PMID: 40505730. DOI: 10.1016/j.eprac.2025.06.003
5. 日本口腔インプラント学会 https://www.shika-implant.org/
6. Lemos CAA, de Oliveira AS, Faé DS, et al. Do dental implants placed in patients with osteoporosis have higher risks of failure and marginal bone loss compared to those in healthy patients? A systematic review with meta-analysis. Clinical Oral Investigations. 2023. PMID: 37043030. DOI: 10.1007/s00784-023-05005-2
平成24年3月 同大学歯学部大学院修了(学位取得:口腔外科専攻)
平成25年1月 関連病院出向
平成30年4月 ごとう歯科クリニック勤務
現在に至る
日本口腔インプラント学会会員
日本顎顔面インプラント学会会員
日本有病者歯科医療学会会員
日本臨床歯周病学会会員
日本顎関節学会会員
日本口腔科学会会員
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