手術が怖い、痛い不安を解消するための麻酔の仕組みと事前相談|春日井市の歯医者|ごとう歯科クリニック

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手術が怖い、痛い不安を解消するための麻酔の仕組みと事前相談

手術が怖い、痛い不安を解消するための麻酔の仕組みと事前相談

目次

歯科手術の痛みや恐怖は、麻酔の使い分けと事前の対話で和らげられます


歯の手術の「痛い」には局所麻酔、「怖い」には静脈内鎮静法などをあわせて使い、これまでの経験やかかっている病気を前もって歯科医師に伝えておくと、つらさをやわらげられます。 この記事では、それぞれの麻酔の役わり、お薬手帳を使った相談のしかた、生体モニターでの体の様子の見守り、当日の運転の注意や費用の目安をお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 局所麻酔は処置部位の痛みを抑え、鎮静法は緊張や恐怖を和らげる目的で用いられます。
  • 麻酔が効きにくかった経験、持病、服用中の薬、処置を止める合図を事前に歯科医師へ伝えましょう。
  • 手術中はモニターで体の状態を確認し、鎮静法当日の運転や付き添い、術後の予定、費用を前もって相談します。

局所麻酔・鎮静法・全身麻酔は、それぞれ「痛い」と「怖い」のどちらを和らげる?


局所麻酔は治療するところの痛みを止め、鎮静法は手術への怖さや緊張をやわらげるもので、それぞれ役わりがちがいます。 どんな手術か、かかっている病気、怖さの強さに合わせて、これらを組み合わせながら進め方を決めていきます。なお、手術前の不安には、VRで手術の様子を見てもらうなど、薬を使わない工夫も役立つという報告があります 。


麻酔・鎮静の種類主な役割手術中の意識主な適応場面
局所麻酔歯や歯茎の痛みを止めるはっきりしているむし歯治療、抜歯、インプラントなど全般
静脈内鎮静法不安や恐怖心、緊張を和らげるうとうと眠っているような状態恐怖心が強い方、処置時間が長くなる手術
全身麻酔意識と全身の痛みをなくす完全に眠っている状態処置範囲が広い手術、通常の対応が難しい場合

局所麻酔は痛みを止め、静脈内鎮静法はうとうとした状態で恐怖をやわらげる


局所麻酔は、治療するところだけに薬を効かせて、しばらくのあいだ感覚をなくす方法です 1。注射のチクッとする刺激を減らすため、表面麻酔や極細の針が用いられます。一方、静脈内鎮静法は点滴から薬を入れ、うとうとと半分眠っているような状態で緊張を和らげる方法で、恐怖心が強い方や処置が長くなる手術で案内されます。


よくある誤解:鎮静法を受ければ局所麻酔はいらない?


鎮静法は気持ちを落ち着かせる方法なので、痛みが出る処置をするときは局所麻酔もあわせて使います 。 鎮静法で気持ちが落ち着いた状態になってから口の中に局所麻酔を行うため、注射の場面でも恐怖を感じにくくなります。鎮静中は手術中のことを覚えていない方もいますが、歯科医師の呼びかけには応じられる程度の意識を保つよう、薬の量を調整します 。


全身麻酔を検討する状況と、麻酔法を歯科医師と一緒に決める理由


あごの骨の深いところにある親知らずを抜くときなど、手術の範囲が広いときや、強い恐怖心で処置がむずかしいときには、意識を完全になくす全身麻酔を考えることがあります。どの麻酔法を選ぶかは、患者さんの希望だけでなく、高血圧などの持病や飲んでいる薬、手術にかかる時間もふまえて決めます 。ふつうの歯科医院で対応できるか、大学病院などへの紹介が必要かもふくめ、事前の相談で歯科医師と一緒に方針を決めていくことが大切です。


麻酔が効きにくかった経験や持病は、事前相談でどう伝えればいい?

麻酔が効きにくかった経験や持病は、事前相談でどう伝えればいい?

これまでに麻酔が効きにくかったとき、いま飲んでいる薬、治療中に止めてほしいときの合図の3つを、治療の前の相談でくわしく伝えておきましょう。 手術の前に歯科医師やスタッフからしっかり説明を受け、わからないことをなくしておくと、手術前の不安をやわらげるのにも役立ちます 。


ポイント

過去のつらかった経験や服用中のお薬、処置を中断する合図を事前に決めておくことで、同じ思いを繰り返さないための対策が立てやすくなります。


「いつ・どの歯で・どう痛かったか」を具体的に伝える


下の奥歯や骨がかたく注射の薬がしみこみにくいところ、歯ぐきのまわりに強い炎症や膿があるところでは、麻酔が十分に効かないことがあります 2。学生時代の治療などで痛かった経験がある方は、「いつ・どの歯の処置で・どのように痛んだか」を伝えてください。腫れを繰り返す下の親知らずなど奥歯の抜歯を勧められている場合でも、事前に状況を把握できれば、炎症を抑えてから抜歯する、麻酔の効きを確かめてから処置に入るといった手順を調整しやすくなります。


高血圧の薬・お薬手帳・アレルギーで確認しておく項目


持病や服用中のお薬がある方は、事前診察の際にお薬手帳を持参し、以下の項目を歯科医師へ伝えてください。


  • いま飲んでいるすべてのお薬(血圧を下げる薬、血液をさらさらにする薬など)
  • ふだん家で測っている血圧や、病院で測った血圧の数値
  • 薬や食べ物、歯の治療で使う材料へのアレルギーがあるか
  • これまでの歯の麻酔で、どきどきしたり気分が悪くなったりしたこと

普段飲んでいるお薬は、自己判断で休薬せず、事前に主治医や歯科医師と相談して継続・中止を確認してください。


処置を止めてほしいときの合図を治療前に決めておく


過去に手を挙げても治療を止めてもらえなかった記憶があると、「また我慢させられるのではないか」と怖くなるのは自然なことです。そのため、処置に入る前に「痛みや苦しさがあれば左手を挙げる」といった中断の合図を歯科医師とあらかじめ決めておきましょう。途中で声かけを挟みながら効き具合を確認し、痛みがあれば無理に進めず麻酔を追加するなど、患者さんが疑問や恐怖を抱えたままにならないよう対話を重ねて進めることが基本となります。


手術中の体の状態や手術後の痛みは、どう確認して対処する?


手術中は生体モニターで血圧や酸素の値を継続的に確認し、手術後は麻酔が切れるタイミングに合わせて処方された痛み止めを使うことで体調と痛みを管理します。 全身麻酔の手術では、手術前の不安を和らげる工夫が役立つという報告があります 34。


生体モニターで見ている血圧・脈拍・血液中の酸素の値


鎮静法を使うときや、時間のかかる手術、持病のある方の処置などでは、生体モニターを装着して全身の状態を確認しながら手術を進めます。モニターには血圧、脈拍、心電図、血液中の酸素飽和度などがリアルタイムで表示されます。緊張や痛みで血圧が上がりやすい方や、高血圧のお薬を飲んでいる方でも、数値の変化にすぐ気づけるため、処置のペースを緩めたり休憩を入れたりといった配慮が可能です。


麻酔が切れた後に痛みが出やすい時期と痛み止めの使い方


歯の治療で使う麻酔は、処置のあと時間がたつにつれて少しずつ切れていきます。麻酔が切れてから数日のあいだは痛みや腫れが出やすいため、痛みが強くなる前に、出された痛み止めを言われたとおりに飲むのが一般的なやり方です。とくに下の親知らずを抜くときや骨にふれる手術では、次の日から頬が腫れることもあるので、仕事や大事な予定も考えて手術の日を選んでください。


想定より痛い・腫れが引かないときに医院へ連絡する目安


手術のあとの治り方は人によってちがいますが、次のようなときは、つぎの予約を待たずに、処置を受けた歯科医院へ連絡してください。


  • 処方された痛み止めを飲んでも強い痛みが治まらない
  • 術後3〜4日を過ぎても腫れや痛みが強くなっている
  • ガーゼを噛んで圧迫しても出血が止まらない、または発熱がある

身体的な症状だけでなく、手術後に強い不安や動悸が続く場合も、我慢せず早めに相談することをおすすめします。


当日の運転や仕事・家族の予定、費用はどう準備すればいい?


鎮静法を受ける当日はご自身での車の運転を控え、家族の送迎や付き添いを手配したうえで、手術内容と麻酔にかかる費用を事前に確認しておく必要があります。 まだ手術を受けるか迷っている段階でも、まずは相談だけから始めて日程や条件を整えることが可能です。


鎮静法を受けた日は運転を控え、付き添いとお迎えを手配する


静脈内鎮静法を受けたあとは、しばらく眠気やふらつきが残るほか、血圧の変動や吐き気が出ることもあります 。そのため、手術当日は終日、車や自転車の運転を控える必要があります5。普段は車で通勤やお子さんの送迎をしている方も、当日は公共交通機関やタクシーを利用するか、ご家族に付き添いとお迎えを頼めるよう事前に手配しておきましょう。手術前の食事や水分の制限時間も指示に従って守ってください。


手術日と家族の予定を組み立てる考え方


働きながら家事や育児を担っている方が歯科手術を受ける際は、手術当日だけでなく翌日の体調やその後の消毒・抜糸の通院も含めて予定を組むと無理がありません。ご家族が送迎や家事を分担しやすい曜日や、翌日に仕事を休みやすい日を選んで手術日を設定すると、術後も落ち着いて安静に過ごしやすくなります。


保険が使える範囲と、鎮静法の費用を確かめる方法


親知らずを抜くときなどは健康保険が使えますが、インプラントの手術や、それにあわせて行う静脈内鎮静法などは自由診療(健康保険が使えない診療)になることがあります。当院では、静脈内鎮静法は77,000円(税込・2.5時間まで)で、手術にかかる全部の費用は内容によって変わります。前もって相談するときに、手術代と鎮静法の費用を分けた見積もりを出してもらうと、かかるお金を確かめやすくなります。


まだ決めきれない方は、相談だけから始めて延期も選択肢に


恐怖心が強くどうしても決心がつかないときは、初診の日にすぐ処置をするのではなく、検査と相談だけで終えることもできます。抜歯を先延ばしにした場合に腫れや隣の歯へどう影響するかも聞いたうえで、手術を延期したり、そもそも歯を残す別の選択肢がないかを検討したりすることも可能です。歯科医師としっかり対話し、納得できてから治療へ進んでいただけたらと思います。


よくある質問


Q. 手術が怖くて前日に眠れないときはどうすればいいですか?


A. 前日は寝る前のコーヒーやお酒をひかえ、眠れなくても横になって体を休めるようにしましょう。手術の前に緊張して眠れなくなるのは、よくあることです。市販の睡眠改善薬などは自分の判断で使わず、前もって歯科医師に相談してください。


CTで調べた結果や当日の流れ、痛みへの手だてを歯科医師からくわしく聞いておくと、見通しが立って気持ちが落ち着きやすくなります 。寝不足は当日の血圧や体のぐあいにもかかわるため、不安が強いときは前もって相談してください。


Q. 抜歯を勧められた奥歯を、怖いからとそのまま放置するとどうなりますか?


A. 腫れを繰り返している親知らずや進行したむし歯・歯周病の奥歯を放置すると、周囲のあごの骨や隣の健康な歯にまで炎症が広がることがあります。また、痛みが強くなってからでは麻酔が効きにくくなる場合もあるため、抜歯以外の方法で歯を残せるかどうかも含め、状態が落ち着いているうちに一度相談しておくことをおすすめします。


Q. 奥歯を抜いた後は、どのような治療の選択肢がありますか?


A. 親知らず以外の奥歯を抜歯した後は、噛む機能を補うために入れ歯、ブリッジ、インプラント、または条件によってはご自身の親知らずなどを利用する歯の移植といった選択肢があります。そのままにすると周囲の歯が傾き、噛み合わせに影響することがあるため、抜歯後の補い方も事前に話し合っておくと見通しが立てやすくなります。


参考文献


1. 歯科麻酔 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020. https://www.jda.or.jp/park/trouble/index23.html

2. 歯科麻酔Q&A | 歯科麻酔とは | 日本歯科麻酔学会. https://jdsa.jp/about/qa.html

3. Li H, Chiu PL, Efendi D et al. Effects of Virtual Reality-Based Interventions on Preoperative Anxiety in Patients Undergoing Elective Surgery With Anesthesia: Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of medical Internet research. 2025. PMID: 40305092. DOI: 10.2196/55291

4. Zhao D, Tian T, Jin S. Preoperative Virtual Reality for Pediatric Patients Undergoing General Anesthesia: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trial. Paediatric anaesthesia. 2025. PMID: 40698894. DOI: 10.1111/pan.70016

5. 歯科麻酔 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020. https://www.jda.or.jp/park/trouble/index23_02.html


後藤 新吾

歯科医師


ごとう歯科クリニック

院長

後藤 新吾

▶ 監修者プロフィール

経歴
平成19年3月 愛知学院大学歯学部卒業
平成24年3月 同大学歯学部大学院修了(学位取得:口腔外科専攻)
平成25年1月 関連病院出向
平成30年4月 ごとう歯科クリニック勤務
現在に至る
資格・所属学会
日本口腔外科学会会員(専門医)
日本口腔インプラント学会会員
日本顎顔面インプラント学会会員
日本有病者歯科医療学会会員
日本臨床歯周病学会会員
日本顎関節学会会員
日本口腔科学会会員